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第13部「ガラス斬り」

13部 ガラス斬り





林  亀横   13時38分
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「・・・・・ハッ!!」
ーーー亀横が林に逃げ込んでから・・・・もう、4時間が経ったーーー
亀横は、前日からの疲れで眠ってしまっていたようだ。
・・・・辺りは明るかった。
『・・・・守川くんは無事だろうか』
『私はこのまま死ぬんだろうか』
『この後どうすれば良いのか』
『この後・・・どうなってしまうのか』
・・・色々な事が亀横の脳裏を過る。

ーーーーー泣きたくなった。
ーーーーー逃げたかった。
ーーーーー逃げ場所なんて無かった。
ーーーーー温もりが欲しかった。
ーーーーー人の暖かみが・・・欲しかった。

【・・・ガサッ】
「!!」
亀横の背後の草が揺れた。
・・・後ろを見る勇気は無かった、精一杯身体を小さくする事しかできなかった。
『・・・・死ぬんだ、私』
そう・・・考えてもみた。

「・・・・か、かめ?」

聞き覚えのある女の声が背後からした。
「・・・・・」
亀横はゆっくりと後ろを向く。
そこには・・・
「・・・・真奈美・・・・まゆみ・・・・」
・・・・吉賀と久井だった
亀横は一瞬鳥肌が立ち、涙がこぼれる。

恐怖の涙は出なかった。
喜びの涙は出てくれた。

「・・・ねぇ、どうしたの?かめ、ねぇどうしたの?」
「・・・・・・んーん・・・な、なんでもない・・・行こっ♪」
亀横は立ち上がり、バッグを掴み吉賀と久井の前を走った。

川・上流  守川   13時53分
守川がよろめきながら川岸を、上流へと歩いていた。
「・・・・・・」
何を求めて歩くのかは分からない。
・・・一体何時間歩いたのだろぅか・・・
「・・・・!!」
守川は、前方の何かに気付き、走り出す。
【ジャッジャッジャッジャッジャッ】
足下の砂利が音を起てて跳ねる。

「まじかょ・・・」
守川の目の前には、外国のような広く美しい花畑が現われた。
「マ・・マンガみてぇ・・・・」
守川は何となく飛び込んでみた。
『・・・・ここで、鬼ごっこしてぇなぁー・・・・』
「・・・・・・・・寝ょ」
寝るらしい。

映画館1階  鈴縞   13時34分
「・・・・ふぅ・・・」
『いないなぁ・・・・どぉーこ行っちゃったんだろぉ・・・』
ふと時計が目に入る。
「ヤバッ!!2時間経ってるじゃん!!成琴さぁーん・・・」
『・・・・もうちょい探して戻ろ』
【・・・ーー・・ーーー・・ーーー】
どこからか話し声が聞こえる。
しかも違う部屋なのにここまで聞こえるということはかなりの大きな声だろう。
「・・・・英語?」
聞いたことの無い英語が聞こえた。
「あ」
それが、映画の音声だと気づき、劇場へと向かった。
「ふふ・・・多由、出来たんだぁ。スゴいなぁ♪」
鈴縞は劇場のドアを押す。
「・・・・・!!」
ーーーー映画は、やっていた。
しかし・・・色が違った。
スクリーンが赤かった・・・
その色は映写機の方から来てるのだった。
「多由ぅっ!!」
鈴縞は2階の映写室に向かって走る。
【バンッ!】
「多由っ!!」
「・・・・・」
・・・しかし、北藤は居た。
立って劇場の方を見下ろしていた。
どうやら、鈴縞を驚かせようとしたらしい。
鈴縞もそう思った。
「バ・・・バカッ!ビックリしたんだから!!ビックリして身長ちぢん・・・・あれ?」
「・・・・・」
応答は無い・・・・・有るはずが無い。
「キャァァァァァ!!!!!!!」
鈴縞の足下には、指が落ちていた。
【・・・・ズズズッ】
後ろ姿の北藤の首がずり落ちた。
よく見ると北藤の顔には・・・耳や鼻が無かった。
【ドドサッドサッドササッ!!】
頭が落ちたのが引き金に身体がバラバラに崩れた。
「・・・・ッ」
鈴縞に嘔吐感が現われた。
鈴縞は劇場と繋がる、映画を映す為の小さな窓から上半身を出す。
「・・・はぁ・・ハァ・・・」
2度目の嘔吐感がした、その時。
【シュキィィン!!】
真上から横縦1mぐらいのガラスが降ってきた。
鈴縞の喉とみぞおちの間ぐらいの所から上がガラスによって切り落とされた。
【・・・ビチャビチャビチャ!!】
大量の血が地面へ流れる。



【カンッカンッカンッカンッ】
3階からの階段わゆっくり降りて来る人がいた。
ーーー女だった。
バッグを3つ持っていた。
「ーー♪ーーーー♪」
鼻歌を唄っていた。
・・・・やはり、その女も・・・・笑っていた。







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